ハン・ゴンジュ 17歳の涙 | 実話ベースのあらすじとキャスト

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韓国映画の中でも高い評価を受けた「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」。

この作品は、チョン・ウヒの繊細な演技とリアルなストーリーテリングが評価され、多くの視聴者を魅了しました。

実話を基にしたこのドラマは、17歳の少女ハン・ゴンジュの物語を描いています。

彼女の人生は、集団レイプ事件の被害者となったことで一変します。

被害者であるにもかかわらず、家族・学校、周囲の大人たちに保護されなかったばかりか、示談を執拗に求めてくる加害者生徒の両親たちに追い回されるハン・ゴンジュ。

彼女は追われるように転校を余儀なくされます。

新しい学校での生活、希薄な家族との関係、複雑な友人関係、目を覆いたくなるような事件、そして衝撃の結末・・・。

ハン・ゴンジュの日常とその変化を描いたストーリーは視聴者の心を揺さぶり、なんとも言い難い陰鬱な気持ちがこみ上げてきます。

この韓国映画を観終わると、副題の「17歳の涙」のとおり、ハン・ゴンジュのあまりに過酷な人生に涙してしまうはず・・・。

「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」の見どころは何といってもキャストの演技力。

特に17歳の多感で繊細なハン・ゴンジュを演じたチョン・ウヒの演技は絶賛されました。

この記事では、韓国映画「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」のあらすじとキャストex、そしてその背後にある実話や考察(感想)について解説します。

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このページの目次

映画の概要

映画の 概 要

  • 日本語タイトル:ハン・ゴンジュ 17歳の涙
  • 韓国語タイトル한공주
  • 英語タイトルHan Gong-ju
  • 監督・脚本イ・スジン
  • 主演チョン・ウヒ
  • 吹き替え:日本語の吹替なし

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あらすじ(ネタバレあり)

2004年に韓国で発生した衝撃的な女子中学生集団暴行事件を基にした韓国映画「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」は、イ・スジンが脚本・監督を手がけました。

主演はnetflix韓国映画「スマホを落としただけなのに」で主人公ナミを演じたチョン・ウヒ

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この映画は、集団レイプ事件に巻き込まれ、転校を余儀なくされた17歳の少女・ハン・ゴンジュ(演じるチョン・ウヒ)が主人公。

元担任教師の母親の家に身を寄せながら新たな人生を歩み始めるところから物語が始まります。

嫌がる母親に半ば強引にハン・ゴンジュを預ける教師。

1週間だけと条件つきでしぶしぶ預かる母親・・・。

妊娠をしているのではないかと疑われつつ、教師が昔使っていたというむさ苦しい部屋に居候することになったハン・ゴンジュ。

彼女がこの家に歓迎されていないことは明らかでした。

新しい学校での生活にもなかなか馴染むことができず、周囲と距離を置くゴンジュ。

本来であれば一番の味方である両親との仲も疎遠です・・・。

3年前に家を出た実の母親はすでに再婚しており、何の連絡もなしに携帯番号を変えていました。

そんな母親をコンジュは「裏切り者」と呼びますが、新しい引っ越し先でまず消息を探し、実際に会いに行ったのはこの母親でした。

3年ぶりに再会した母と娘。

けれども母親は娘ハン・ゴンジュの話を聞こうともせず、ただ一方的に「もう来るな」と彼女に告げます。

娘ゴンジュの手に数枚の紙幣を握らせるだけで、彼女を追い返そうとするのです。

娘よりも再婚した夫との生活を選んだ母親・・・。

3年前に捨てられたハン・ゴンジュが、再び見捨てられた瞬間でした・・・。

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そんな傷心な彼女でしたが・・・

新しい生活にも少しずつ変化が訪れます。

まず、新天地に来た彼女が一番最初に希望したのは「水泳」の練習。

「泳ぎを習うこと」はハン・ゴンジュが自ら求めた唯一のこと。

金槌で、息継ぎさえ上手にできない彼女ですが、一生懸命に練習に励みます。

そして、もう1つ、ハン・ゴンジュに訪れた変化・・・。

偶然、ゴンジュの歌声を聴いたアカペラ・グループの女子生徒たちと徐々に友情を深めていくのです。

特にウニ(チョン・インソン)は、孤立しがちなハン・ゴンジュにあれやこれやと世話を焼きます。

最初こそ迷惑そうにしていたゴンジュでしたが、無条件の愛を注いでくれるウニに徐々に心を開いていくように・・・。

ウニの家に遊びに行き、お泊りをするほどの仲良しになるのにそう時間はかかりませんでした。

さらにもう1つ嬉しい変化が・・・。

教師である息子からハン・ゴンジュを無理やり押し付けられ、彼女を厄介者扱いにしていた母親。

そんな彼女でしたが、ハン・ゴンジュが自発的に店の手伝いをはじめたことを機に、少しずつゴンジュの存在を受け入れ始めます。

そして自身の不倫が原因で暴行を受けたことをきっかけに、ハン・ゴンジュとの距離がさらに縮まり、いつしか2人は疑似親子のような関係に・・・。

思えば・・・

この時期がハン・ゴンジュにとって、一番幸せな時期だったのかもしれません・・・。

教師の母と親密になり、学校で新しい友達もでき始めたゴンジュは少しずつ平穏な生活と笑顔を取り戻していきます。

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ようやく普通の日々を取り戻しつつあったハン・ゴンジュ。

しかし、皮肉なことに自身の家族によって悲劇が始まろうとしていました。

そう、実の父の手によって・・・。

ある日、ゴンジュのもとに疎遠になっていた父親から電話がかかってきました。

久しぶりに再会した父親は酒に酔い、ある「書類」に署名するようハン・ゴンジュに強要します。

それは暴行事件の加害者のための示談書でした。

加害者の親が提示した示談金に目がくらんだゴンジュの父親は、娘を売ったのです・・・。

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元担任の教師から父親の裏切りを知らされたゴンジュ・・・。

彼女は父親に電話するも、着信音が鳴るばかり・・・。

最後まで父親が彼女の電話に出ることはありませんでした。

失望のハン・ゴンジュは、自分の過去を回想します。

彼女と親友のファオクを襲ったあの忌まわしい過去を・・・。

これまでこま切れだったゴンジュの過去がここでようやく一つに繋がります。

不良のいじめグループから過酷な虐めを受けていたドンユン(ゴンジュのアルバイト先のコンビニ店長の息子)を救うため、親友ファオクが不良グループをゴンジュの家に招いたことがきっかけでした。

ゴンジュとファオクは集団レイプの被害者となり、その後、ファオクは妊娠。

それを苦にしたファオクは、橋から身投げして水死してしまいます。

なぜハン・ゴンジュがあんなに一生懸命、水泳の練習をしていたのか・・・。

その謎がここで明かされることとなりました。

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ゴンジュの平穏な新生活にも変化が訪れようとしていました。

ゴンジュの歌声に魅せられた少女たちは、ゴンジュの歌を録音したデモテープを無断で芸能事務所に送ったのです。

最初は乗り気ではなかったゴンジュですが、ウニの勧めもありミュージックビデオを作成。

それが見事、第一次審査を通過したのです。

「ハン・ゴンジュ!ハン・ゴンジュ!ハン・ゴンジュ!」

ゴンジュの名前を連呼しながら、ウニとその仲間たちはゴンジュの快挙を心から喜びます。

教室で開いたプチお祝い会で、仲間の一人が聞きます。

「ゴンジュの夢は何?」

ゴンジュはその問いに静かに答えます。

「25メートルプールを泳ぎ切ること」だと・・・。

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しかし、ある日突然、再び悪夢がゴンジュを襲います。

芸能事務所の1次審査に合格したゴンジュのために、ウニとアカペラ・グループの仲間たちが彼女のファンクラブ・サイトを立ち上げたのです。

そこには彼女の個人情報とミュージックビデオがアップロードされていました。

すべてはハン・ゴンジュを想っての好意でしたが、彼女は烈火のごとく怒り、今すぐ削除するよう要求します。

ゴンジュが喜んでくれるだろうと思っていた少女たちは、彼女の思いがけない言動に怒りが爆発。

一人、一人とその場を立ち去り、最後にはウニまでもがゴンジュを一人残し、教室を出ていくのでした・・・。

そしてさらに、最悪の状況がゴンジュを襲います。

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先ほどの激高を謝ろうとウニに手紙を書いたゴンジュ。

まさにその直後・・・

集団レイプ事件の加害者として逮捕されている少年たちの親が例のサイトを見つけ出し、ゴンジュの学校に押しかけて来たのです。

そして彼らは授業中のクラスに乱入し、ゴンジュを取り囲むと「示談書に署名をしろ」と激しく迫ります。

非常識な親たちの怒濤の勢いに怖気づいた級友たちはパニック状態・・・。

ハン・ゴンジュは教室から逃げ出し、鍵を閉めた暗い体育館の片隅で一人むせび泣くことしかできませんでした・・・。

そしてこの騒ぎを聞きつけた校長は、あからさまに迷惑そうな顔をして、ゴンジュに自宅謹慎を命じるのでした。

居候先へと戻るゴンジュ。

先生の母親はゴンジュのことを庇い、非常識な親たちの乱入を非難するのですが・・・

世間体を考え、ゴンジュを引き留めることを躊躇します…

そして、その場の空気と先生の母親の気持ちを汲んだゴンジュは、大きなスーツケースを一人抱え、静かに家を立ち去るのでした・・・。

行く当ての無いゴンジュは自分を裏切った父親、以前の高校の教師に助けを求めて電話するも・・・

二人ともゴンジュに救いの手を差し伸べることはありませんでした。

絶望したゴンジュ・・・。

漢江の橋の上にスーツケースを残し、彼女は水底へと姿を消すのでした・・・。

コナン


キャスト ex

チョン・ウヒ /  ハン・ゴンジュ

主人公の女子高生
集団レイプ事件の被害者
チョン・インソン / ウニ

ハン・ゴンジュの転校先の友人
イ・ヨンナン / 元痰飲教師の母

転校したハン・ゴンジュが身を寄せる
スーパーのオーナー
派出所の所長と不倫をしている
キム・ソヨン / ファオク

ハン・ゴンジュの元親友
集団レイプ事件の被害者
妊娠を苦に自殺する



感想(ネタバレあり)

「わたしはまったく悪くありません。

なのに、なぜ・・・・?」

この映画は最初から最後まで、一人の女子高生、ハン・ゴンジュの心の叫びが貫いています。

集団レイプ事件の被害者でありながら、まるで加害者のように責められ、追い立てられ、逃げ惑うハン・ゴンジュ。

本来であれば守ってくれるはずの母親は数年前に家出をした末、新しい男性と再婚。

父親は娘を騙して示談書にサインをさせ、そのお金を遊興費に使ってしまうような毒親。

家庭的に決して恵まれてはいない彼女ですが、その生い立ちは最初から不幸だったのでしょうか?

彼女の名前は「ハン・ゴンジュ(韓公主)」。

日本風に言えば、「大和姫子」といったところでしょうか?

この名前からも想像できるように、彼女の人生の始まりは、きっと温かなものだったに違いありません。

両親にとってはまさしく可愛い「プリンセス」だったはずです。

けれどもいつしかこの一家に不協和音が生じはじめ、家族はバラバラに・・・。

集団レイプ事件が起こる以前も、ゴンジュと親友ファオクは決して品行方正な生徒ではなかったようです。

親友ファオクは授業を抜け出してトイレで喫煙していますし、ゴンジュも廊下で罰を受けています。

けれどもゴンジュは芯のしっかりした、頑張り屋さんでもありました。

父娘の父子家庭ですがきちんと家事をこなしています。

楽器を買うためにコンビニでアルバイトをしていますし、居候先でも自主的に率先してお手伝いを始めます。

教師の母親が自身の不倫が原因で暴行を受け落ち込んでいた際には、心から彼女を心配し慰めます。

自分を捨てて再婚し、新しい連絡先さえ教えなかった母親を「裏切者」と呼びますが、直接、母と対面したときには満面の笑みで会えた喜びを表現するのです・・・。

示談金欲しさに自分の都合の良いときにだけ電話をよこす父親。

そんな鬼畜のような父親からの電話を彼女はけなげに待ち続けます・・・。

鳴らない携帯を握りしめながら・・・。

また、最後の夜を明かすチムジルバン(混浴施設)で、彼女は「怖い」と正直な気持ちを先生に泣きながら訴えます。

ハン・ゴンジュはどこまでも優しい普通の、いえ「普通」以上に人の心の機微がわかる繊細な女の子なのです・・・。

ゴンジュが居候先を出ていく際、先生の母親と不倫相手の派出所の所長が「ファオクの死」について噂話をしているのを偶然耳にしました。

これまでずっと素直で従順だった彼女がこの時だけは静かに反論します。

「ファオクは妊娠させられた」のだと・・・。

そして一言、こう添えるのです。

「このことは誰にも言わないで・・・」。

そもそも、ゴンジュの自宅に不良グループを勝手に招き入れたのは親友ファオクでした。

ゴンジュは彼らを見て困惑し、何とか部屋から追い出そうと警察に電話をしたり、必死に身を守ろうとしました。

まさにハン・ゴンジュこそ、この恐ろしい暴行事件の一方的な被害者だったのです。

普通であれば、このおぞましい事件の元凶を図らずも作ってしまったファオクを恨んでもいいはずですが・・・

無念の死を遂げたかつての親友を庇い、その名誉を守ろうとしたゴンジュの優しさが現わされているワンシーンだと思います。

映画を観ながら個人的に感じたこと、それはゴンジュが抱え持つ「寂しさ」と「悲しみ」です。

映画の冒頭で、ハン・ゴンジュは静かに語ります。

(歌を歌うことで)

しばらくは

寂しさや悲しさを忘れられる

心の支えになり

現実から逃げられる

この言葉からもわかるように、彼女が全身で表現している心の叫びは「寂しさ」や「悲しさ」であって「怒り」ではないのです。

ときにゴンジュはアカペラグループの女友達に激しい怒りをぶつけます。

「自分を撮るな。

個人情報をすぐに削除して!」と。

けれどもそれは「怒り」というより、むしろ「身元が割れる」ことへの恐怖心です。

「歌」を歌うことでしか「現実から逃げる」ことができなかった少女の気持ちを想うと、言葉にならない切なさが湧いてきます・・・。

それが一番良く表現されているシーンは、居候先を出たゴンジュを急いで追いかけてきた派出所の所長との場面でしょう。

暗い夜道を一人、大きなスーツケースを引きながら歩くハン・ゴンジュ。

そんな中・・・

「ゴンジュ!ゴンジュ!待ってくれ!」

と彼女の名前を呼びながら、急いで駆け寄ってくる男。

自分の名前が呼ばれるのを聞いて振り返るハン・ゴンジュ。

その目には一縷の望みが宿っていました。

もしかして、自分を引き留めてくれるのかもしれない・・・

もしかして、自分を守ってくれる「居場所」がここにあるのかもしれない・・・。

けれど・・・

後に続く所長の言葉はあまりに残酷でした…

「警察関係の知人のために示談書にサインをしてほしい」

と・・・。

本来であれば自分を保護してくれるはずの大人たちのあまりの身勝手さ・・・。

そんな境遇に心底嫌気がさしたのか、行く当てのない将来を悲観したのか・・・

彼女はあるネット記事を見つけ、釘付けになります。

それは、「集団暴行の被害者が飛び降り自殺をした」という痛ましいニュースでした・・・。

次の日、ゴンジュは電車の中で2通のメッセージを受け取ります。

1通目は1次審査を通過した芸能事務所から「早急に連絡が欲しい」という通知。

本来であれば、躍り上がって喜びたいほどのメッセージのはずですが・・・

それを見つめるゴンジュにもはや喜びの色はありません・・・。

そして2通目は大好きな友人、ウニからのメッセージ。

「今どこ? 心配だよ

 あなたは悪くない

 連絡待ってる」

このメッセージに応答するように、ゴンジュはウニに電話をします。

鳴り続ける着信音。

けれどウニは電話をとりません。

いえ、とれなかったというべきでしょう・・・。

そのとき、ウニはネットで公開されているゴンジュの暴行動画を唖然と見つめ…

「見たくない」と画面を閉じていたのですから。

視聴者である私からすれば、「ウニ!ゴンジュからの電話、彼女からのSOSを受け取って!」と言いたいところですが・・・

誰もウニを責めることはできないでしょう。

彼女だってゴンジュと同じ17歳、まだまだ子どもです。

またウニはゴンジュやファオクとは違い、恵まれた良い家庭に育ち、愛情いっぱいに育てられた少女。

彼女の部屋には海外旅行に行ったときの写真や立派な弦楽器が飾られています。

まさしく彼女の部屋に置いてあった「聖母マリア像」が象徴するような温かく、裏表のない無条件の愛を注いでくれる、陽だまりのような女の子です。

ゴンジュの置かれている環境とは真逆の少女、もしかするとウニはゴンジュの「憧れ」の人だったのかもしれません。

だからこそ、彼女の飼い犬が死んだと聞いたゴンジュは、「何かしてあげた?」と、その愛犬の死にどう向き合ったのかをウニに尋ねたのでしょう。

親友だったファオクの死を受け入れることができず、今だ苦しい思いを抱えている彼女が思わず発した問いだったのだと思います。

このウニの部屋で映し出される「マリア像」の優しさ、無条件に注ぎかける愛をウニが象徴していると書きましたが・・・

私はその「愛」をゴンジュの中にも見た思いがします。

部屋の壁いっぱいに飾られた写真を、優しい眼差しで、時には笑みを浮かべて見つめるゴンジュ。

その目に嫉妬や羨望はまったくありません。

ウニの人生の豊かさを共に喜んでいる、とさえ言えるような、穏やかな表情なのです。

私がもしゴンジュだったら?

あんな優しい笑顔で友人の写真を眺める自信は、残念ながらありません・・・。

悲惨で劣悪な環境にいても、ゴンジュの心の中にはマリア像の象徴する愛と、自身の名前「公主 / プリンセス」の気高さが宿っているのだと思わされました。

だからこそ、ウニは境遇のまったく違うゴンジュに強く惹かれたのではないでしょうか?

けれども、お嬢様育ちのウニにゴンジュが人知れず抱えていた苦悩を理解することは難しかったでしょう。

光の当たる場所で育ったウニには重い十字架を背負ったゴンジュにかける言葉が見つからなかったのも当然です・・・。

そんな彼女にできる唯一のこと、

それが・・・

「目を背けること」

「逃げること」

だったのではないでしょうか?

これはウニの問題だけではありません。

この物語の当事者、ゴンジュもかつて同じ道を辿っています。

親友であったファオクは自殺する前、ゴンジュに電話をしています。

彼女はそれに気づいていましたが、電話をとることはありませんでした。

そのあと、ファオクのもとに急いで駆けつけるのですが・・・

彼女はすでに命を落とし、水から引き上げられるところでした。

その場に居合わせたゴンジュの哀しみや後悔はいかばかりだったでしょうか・・・。

その想いが彼女を水泳へと駆り立て、あれほどの熱意をもって練習に励む原動力となったのでしょう。

「水泳」はゴンジュにとってまさに「サバイバル」であり、生きるための「よりどころ」でした。

生活を豊かにするための趣味や楽しみではなく、人生という荒波を泳ぎ切り、希望の地であるはずの「向こう側」へ渡りきるために必要なもの、だったのです。

その川は悠々と流れる大河ではありませんでした。

ごくごく平凡な25メートル、大半の人にとってはいとも簡単な環境を何とか泳ぎきろうと、彼女は必死でもがいていたのです。

思えば・・・

新しい転校先を初めて訪れたとき、ゴンジュは職員室に飾られている「イルカ」の置物をじっと見つめていました。

有無を言わさず学校を追い出され、転校を余儀なくされたハン・ゴンジュ。

その新天地で目にしたのは、伸び伸びと自由に泳ぎ回っているイルカたちの像でした。

忌まわしい過去を水に流したい・・・

かつての自分を知っている人が誰もいないこの新しい場所で自由になることを…

彼女は夢見ていたのかもしれません。

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最後にこの映画の結末、エンディングについて考察したいと思います。

橋の上から漢江に身を投げたゴンジュは最初、なんとか河を泳ぎます。

ですが・・・

しばらくすると力尽きたように、もがきながら水底に沈んでいってしまうのです。

「あんなに一生懸命、泳ぎを練習していたのに・・・」

と、なんとも無念で悲しい気持ちになっていると・・・

急に、明るい歓声が響きわたります。

「ハン・ゴンジュ!ハン・ゴンジュ!ハン・ゴンジュ!」。

かつて、級友たちに囲まれてデモテープの合格を祝ったあの喜ばしい瞬間でした。

と同時に・・・

まるであのイルカたちの像のように、悠々と華麗に泳ぐゴンジュの姿が再び水底から浮かび上がってくるのです。

そう、あの歓喜の喝采の中を・・・。

このエンディングは2通りの解釈で意見が分かれているようです。

ゴンジュは溺れて亡くなったという人と、いや、ゴンジュは向こう岸へと泳ぎ切って生き伸びたのだという人と。

監督はおそらくどちらの解釈でも取れるように、あえて視聴者の私たちにその結末をゆだねてくれたのでしょう。

私の個人的な気持ちとしては・・・

ゴンジュが無事に向こう岸へ泳ぎ渡り、そのやり切った感から生じた勇気で芸能事務所に連絡。

その後、哀愁のある魂のこもった歌で人々を魅了し、拍手喝采の新しい人生…

を送っていてほしいと心から願いますが・・・

ゴンジュは、漢江の冷たい水底で短い人生に幕をおろしたと思います。

あまりに悲惨で、哀しみと痛みしかない人生のように思いますが・・・

必死で生きようと苦闘した少女の生命は漢江に消えたのだと解釈しました。

残酷すぎる結末ですが、私たちの身の回りにはなぜ?と思えることが時として起こってしまう。

これが社会の現実なのだと思います。

最近は性犯罪や凶悪犯罪も頻発しています。

なかには東横キッズのように居場所を求めて、自ら危ない環境に身を置いてしまう子どもたちもいます。

この映画を観た私たちが、自分の家族、友人、知人、これから出会う人たち、関わる子どもたちと温かい心の通い合いができますように・・・。

大きいことはできなくても、せめて身の回りで第2のハン・ゴンジュを生み出さないこと、見捨てないことを決意したいと思います。

最後に教師の母親が残した言葉で「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」の感想を締めくくりたいと思います。

私には信条があるの

「人にとって一番大切なのは信頼だよ。

信じられるものがないとどんなに悲しいか,,,

なぜ大人は 懸命に働き
家を持つかわかる?

移る準備をいつもしていたら
不安で生きられない

気落ちなんて してない
少しもね
私は何も怖くない
なぜだと思う?

自分の住みかがあるから

実話 / 実際の事件

「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」にはモデルとなった実際の事件があります。

もちらん映画のストーリーには実話とは違う点や脚色がありますが、実際の事件を想起させる類似点もたくさんあります。

いくつか例をあげてみます。

実話 / 実際の事件との類似点
  • 幼い女子生徒(実際の事件は女子中学生)が不良グループから集団レイプの被害にあう
  • 個人情報をインターネットに無断でアップされた
  • 警察の取り調べも被害生徒への配慮に欠くものであった
  • 賠償金に目がくらんだ実の父親と親戚たちから示談書にサインするよう強く促され、サインせざるを得なかった。

    結果、アル中の父親はそのお金で家を借り、残金は親戚と山分けにしたという・・・。
  • 捜査開始わずか1週間で被害少女は加害者両親たちに取り囲まれ、謝罪どころか逆恨みの脅迫を受ける
  • 地元にいられなくなった少女は弁護士の尽力でソウルの高校へ転校

    しかし1か月もしないうちに加害者少年の母親が居場所を突き止め、学校のトイレにまで付きまとう
  • 転校先の高校で身元が割れてしまい、うつ病が再発。

    失意のうちに家出をしてしまう

以上が、実際の事件(実話)と映画「ハンゴンジュ 17歳の涙」の類似点でした。

これを見て、この映画が実際の事件に大きな影響を受けたことは間違いないでしょう。

ここでは詳細は省きますが、実際の事件は目を覆いたくなるほどの内容です。

中でも・・・

実話(実際の事件)の過酷な状況
  • 女子学生がレイプ被害により体調に壊し産婦人科で治療を受け、その後、その精神的苦痛から服毒自殺を図った
  • 加害少年たちはレイプだけでなく、暴行の上、金品まで脅し取っていた
  • 被害は1度だけではなく月に数回、被害写真や個人情報をネタに脅迫し、集団レイプ・強奪を繰り返していた
  • 被害少女は肉体的にも精神的にも深い傷を負い、転校を余儀なくされているにもかかわらず、加害少年たちは誰一人刑罰を受けず、前科も付かないまま日常生活を送っている

という上記の事実に愕然としました。

さらに追い打ちをかけるように、加害者家族から暴言・脅迫を受け、示談を強要され、執拗な付きまといにあうなんて・・・

まさに「この親にしてこの子あり」の状況に強い怒りを感じます。

ハン・ゴンジュの冒頭の言葉・・・


「わたしはまったく悪くありません。

なのに、なぜ・・・・?」

この切実なことばが頭を離れない、そんな悲しい実際の事件(実話)でした。

さらに詳細を知りたい方は「密陽女子中学生集団性暴行事件」を調べてみてください。

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