この記事では、韓国映画『ビー・デビル』のあらすじ(ネタバレあり・なし)、主要キャストの詳細、SNSでの評価、そしてヘウォンやおじいちゃんの心理にも踏み込んだ独自の考察や感想、動画を見るための配信情報まで、詳しくご紹介します!
- 映画『ビー・デビル』の衝撃的なあらすじ(ネタバレあり・なし)
- ソ・ヨンヒやチ・ソンウォンら主要キャストと登場人物の詳細な情報
- SNSでのレビューや評価や考察、感想(ヘウォン、おじいちゃんの心理含む)
- Amazonプライムビデオなど動画を見ることができる配信サービス

映画の概要

- 日本語タイトル:ビー・デビル
- 韓国語タイトル:김복남 살인 사건의 전말(キム・ボンナム殺人事件の顛末)
- 英語タイトル:Bedevilled
- 製作:2010年
- 上映時間:115分
- 監督:チャン・チョルス
- 脚本:チェ・クァンヨン
- 主演:ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン
あらすじ(ネタバレなし)

都会暮らしに疲れたヘウォンは、幼い頃に過ごした思い出の島を訪れる。そこは住民たった9人が暮らす絶海の孤島。幼馴染みのボンナムが笑顔で迎えるが、島を出たことのない彼女は虐待に耐える日々を送っていて、ヘウォンに助けを求める。そんな中で悲劇が…。
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ソウルの銀行で働くヘウォンは、冷徹で厳格な性格の持ち主。
ある日、車を運転中に偶然、暴力事件を目撃。
関わり合いになりたくないへウォンは無関心を決め込みますが、心穏やかではなく職場でトラブルを起こし、強制的に休暇を取ることになります。
気分転換のため、幼少期を過ごした「無島(ムド)」という南の孤島を訪れることになるのですが…。
そこで彼女を迎えてくれたのは、幼少時代の親友ボンナム。
以前と変わらず、温かくへウォンを歓迎してくれるボンナムでしたが…。
一見平和に見える島の生活の裏側には、閉鎖的な社会の中で暴力と抑圧に苦しむボンナムの姿がありました。
夫からの虐待、村の女性たちからの冷たい仕打ち、そして村の男性たちからの性的暴力。
そんな状況から娘のヨニと共に島を脱出したいと願うボンナムは、ヘウォンに助けを求めますが…。
美しい自然の風景と対照的に描かれる人間の闇、無関心という名の残酷さ、そして極限状態に追い込まれた女性の怒りが生み出す恐るべき結末。
2010年のカンヌ国際映画祭批評家週間で上映された、チャン・チョルス監督のデビュー作です。
『ビー・デビル』の予告編
SNS + 55kankokuの評価

SNSの評価
韓国映画『ビー・デビル』は公開から10年以上経った今も、根強い支持を集め続ける作品です。
SNSでは「衝撃的な結末に震えた」「閉鎖的な社会の恐ろしさを描いた傑作」という声が絶えません。
口コミサイトでの評価も非常に高く、ホラー専門サイト「Bloody Disgusting」では「魅惑的で辛辣な虐殺劇」と評され、満点の5/5を獲得。
日本の映画界でも「韓国映画好きなら絶対に見るべき」「女性の怒りを描いた傑作ホラー」と高く評価されています。
filmarksでの
「正直、激しい暴力描写は見るのが辛かったけれど、抑圧された感情の爆発という視点で見ると心に残る作品だった」
という感想が多くの視聴者の気持ちを代弁しているようです。
55kankokuの評価

『ビー・デビル』は一見すると血なまぐさい映画ですが、単に驚かせるためのホラーでも、カタルシスだけを目的とした復讐劇でもありません。
チャン・チョルス監督が描くのは、単なる復讐劇ではなく、私たち自身の中にある「見て見ぬふり」という最も恐ろしい暴力の姿です。
美しい島の風景と残酷な人間ドラマのコントラストが見事で、特に主演のソ・ヨンヒの演技は圧巻。
無邪気さ、優しさ、母性、諦め、絶望といった感情の機微を繊細に表現しながらも、爆発的な怒りと復讐に燃える狂気の姿は殺気迫るものがあります。
閉鎖的な社会における無関心の恐ろしさ、そして幼い子どもや女性に向けられる抑圧や暴力いう普遍的なテーマを、韓国の離島という特殊な舞台で描き出した手腕は見事と表現するしかありません。
監督のチャン・チョルスがキム・ギドク映画の助監督を務めていたことも納得の映像美と緊張感です。
独立系映画でありながら韓国で16万人以上の観客を動員した事実が、この作品の持つエネルギーを物語っています。
2010年の富川国際ファンタスティック映画祭での作品賞受賞をはじめ、国内外の映画祭で多数の賞を獲得したのも当然と言えるでしょう。
ただし、暴力描写や性的な描写が非常に生々しいため、苦手な方には正直おすすめできません。
しかし、そのリアルこそがこの映画のメッセージを力強く伝える力になっていることも、また事実です。
私個人としては、周囲の期待や無言の抑圧に苦しんでいる女性、女友達の心無い言動に悩んでいる女性に観て欲しい作品です。
忘れられない衝撃と余韻を残す名作と出会えることでしょう。
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キャスト ex
キム・ボンナム / ソ・ヨンヒ

主人公
閉鎖的な島で暮らす30代の女
島の男性たちから性的虐待を受け、夫からは家庭内暴力を受けるなど、奴隷のような扱いを受けている。
ヘウォン / チ・ソンウォン

ソウルの銀行で働くキャリアウーマン。
冷淡で他人に無関心な性格。
幼い頃に一時期島で過ごし、ボンナムとは親友だった。
マンジョン / パク・チョンハク

ボンナムの夫。
暴力的で支配的な性格の持ち
妻を奴隷のように扱い、日常的に暴力を振るう
ヨニ / イ・ジウン

ボンナムと彼女の夫の10歳の娘。
学校に通わせてもらえず、島の生活の中で育つ。
ドンホのおばあさん / ペク・スリョン

マンジョンとチョルジョンの叔母.
ボンナムの姑。
チョルジョン / ペ・ソンウ

マンジョンの弟。
兄同様に性的欲求に取りつかれ、常にハーブを噛み続けている。
売春婦の女性

マンジョンと関係をもつ売春婦の女性。
ボンナムに同情し、島を脱出する手助けをする。
トゥクス / オウ・ヤン

島と本土を行き来する船の船頭。
島の出身で、ボンナムたちとは子供の頃からの知り合い。
警察官 / チョ・ドクチェ

本土の警察官。
島出身で、連希の事件の調査に訪れるが、島の住民たちの言い分を信じ、真相を追及しない。
おじいちゃん:ユ・スンチョル

島に住む唯一の男性高齢者。
島の女性たちから性的虐待を受けた過去を持つ。
あらすじ(ネタバレあり)

序盤:ヘウォンの日常とトラブル
ソウルで非正規の銀行員として働く容姿端麗なヘウォンは、冷徹で厳格な性格の持ち主。
そんなある日、彼女は路上での暴力事件を目撃します。
若い女性が男たちに襲われ、助けを求めてヘウォンの車に駆け寄りますが、関わり合いになりたくないヘウォンは窓を閉め、無視します。
後日、警察に呼ばれた彼女は「見ていない」と証言することさえも拒否。
銀行では高齢の女性客に冷たく接し、後輩行員が親切にすると逆ギレ。
その後輩に辛くあたる始末。
同日、清掃員が原因でトイレに閉じ込められた際には、後輩の仕業と思い込み、彼女を平手打ちします。
これにより、ついに支店長から強制的に休暇を命じられてしまいます。
そして、この休暇を利用して、へウォンは幼少期に訪ねたことのある孤島「無島(ムド)」を訪れることにするのです。
中盤:ボンナムとの再会と島の現実
島に到着したヘウォンを、迎えたのは幼なじみのキム・ボンナム。
ボンナムはへウォンに会えたことを心から喜び、熱烈に歓迎します。
実は、これまでボンナムは何度もへウォンに手紙を送っていましたが、ヘウォンは返信していませんでした。
こうして始まった島での生活は表面上は平穏ですが、徐々にボンナムの悲惨な実情が見え始めます。
夫マンジョンからの度重なる暴力、義弟チョルジョンからの性的虐待、島の年配女性たちからの精神的虐待に耐えながら、ボンナムはまるで奴隷のように扱われていました。
ボンナムの娘のヨニは学校にも行かせてもらえず、さらに恐ろしいことに、マンジョンから性的虐待を受けていたのです。
ボンナムは娘を守るため、ヘウォンに「島から連れ出してほしい」と懇願しますが、ヘウォンはボンナムのの話を嘘だと決めつけ、関わりたくないという気持ちから拒絶します。
転換点:娘ヨニの死
ボンナムは娘と共に島を脱出しようと密かに計画します。
しかし、この計画は夫に発覚し、あえなく失敗。
マンジョンはボンナムを激しく殴打し、娘のヨニが父親を止めようとした際、誤って岩に頭を打ちつけて死亡してしまいます。
警察が調査に来ますが、島の住民たちは口裏を合わせて「事故だった」と証言。
ヘウォンも、「自分は現場を見ていなかった」と嘘をつきます。
ヨニの死の真相を知りながらも誰も助けてくれない絶望の中、ボンナムは精神的に追い詰められていくのでした…。
ラスト:壮絶な復讐

島の男たちが全員、船で出かけたある日のこと。
炎天下の中、ボンナムが1人、じゃがいも畑で必死に働く中、島の女たちは陽気に酒を飲み、笑い、歌を歌い、踊り始めました。
突如、鎌を地に落とし、炎熱の太陽を見上げ、見つめるボンナム…。
そして、島の女たちの所へ近づくと、淡々と語りかけます。
「太陽を見てたら 答えが出たよ」と…。
いつものボンナムとは違う、異様な言動を嘲笑する島の女たち。
と、その瞬間、手近になった鎌を女性の首めがけて振り落とすボンナム。
彼女は逃げ惑う島の老女たちを全員殺害し、次に本土から帰ってきた義弟チョルジョンの首を切り落とします。
そして、最後に、夫マンジョンを最も凄惨な方法で殺害するのでした。
恐怖に駆られたヘウォンは島から逃げ出そうとします。
船頭のトゥクスと共に船に乗り込みますが、混乱の中でトゥクスは海に落ち、船のスクリューに巻き込まれて死亡。
ヘウォンは一人で命からがら本土にたどり着きます。
しかし復讐の鬼と化したボンナムは、かつてへウォンが着ていた白いワンピース姿で本土へ渡り、ヘウォンを追って警察署を襲撃。
サ警部に胸と腹部を撃たれながらも、大型ハンマーで警官を殺害し、なおもヘウォンに迫ります。
追い詰められたヘウォンは、子供の頃からの思い出の品である壊れたリコーダーでボンナムの首を刺します。
致命傷を負ったボンナムは、自らリコーダーを引き抜き、最後の力でヘウォンの膝に頭を預けます。
ヘウォンが歌を口ずさむ中、ボンナムは静かに息を引き取るのでした…。
結末:償いと後悔
事件後、ヘウォンは大きく変わります。
かつて見て見ぬふりをした暴力事件について、今度は勇気を出して証言。
加害者が威嚇しても怯まず、自らボールペンを武器に抵抗しようとさえします。
家に帰ったヘウォンは着衣のままシャワーを浴び、かつてボンナムから受け取った手紙を読み返します。
どの手紙も同じ内容で、幼なじみを慕う愛情を伝えるとともに、声にならない助けを求める手紙でした。
涙を流すヘウォンの表情には、「もしあのとき…」という永遠の後悔が刻まれています。
一方、島では認知症のおじいさんだけが生き残りました。
彼は亡くなった島民それぞれに墓を作ります。
山で死んだ者には土で、岩場で死んだ者には石で、家で死んだ者には壊れた壺の欠片で…。
最後に、おじいさんは供物を並べた前で息を引き取り、島の悲劇は完全に終わりを迎えるのでした…。
『ビー・デビル』の考察(ネタバレ含む)

『ビー・デビル』は一見すると単なる復讐ホラーですが、実はより深い社会的メッセージを含んだ作品です。
ここではいくつかの視点から掘り下げて考察していきましょう。
閉鎖社会の病理
『ビー・デビル』の舞台となる無島(ムド)は、ただの物理的な孤島ではなく、閉鎖社会の縮図を表しています。
外部との接触が限られたこの小さな世界では、本来なら許されない行為や考え方が「当然」とされ、歪んだ常識が根付いています。
私が特に注目したは島の女性たちの複雑な立ち位置です。
彼女たちは男性中心主義社会で自身も抑圧されてきたにもかかわらず、ときにボンナムを庇うような言動はあるものの、結果的には虐待に加担します。
また後ほど、登場人物の「おじいちゃん」について詳述しますが、島の老女たちはこの「おじいちゃん」を長年、性的に虐待してきた加害者でもあるのです。
この構図は現実社会でもよく見られる「抑圧の連鎖」を映し出しているかのようです。
弱い立場にある人が、さらに弱い人を抑圧することで自分の居場所を確保しようとする、まさにその心理です。
少女ヨニの死に関して島の住民全員が口裏を合わせる場面では、共同体の「和」を守るために個人の正義や真実が簡単に捨て去られる恐ろしさが描かれています。
「和」を大切にする私たち日本人は、この罠にはまらないように意識する必要がありそうです…。
無関心という暴力
主人公ヘウォンは都会で培った「他人事」という防御を常に身にまとっています。
彼女は銀行での顧客対応、路上での暴行事件、そして島でのボンナムの苦境に至るまで、一貫して「自分には関係ない」という態度をとり続けます。
特に衝撃的なのは、ヘウォンがヨニの死を目撃していながら「寝ていた」と証言する場面です。
この「見て見ぬふり」は、映画『ビー・デビル』が描く最も深刻な暴力です。
ボンナムの「あなたは不親切すぎる」というラストシーンの言葉には、物理的な暴力よりも、この無関心こそが最も残酷だというメッセージが込められているのではないでしょうか?
私たちも、職場のトラブル、身近な人からのちょっとしたSOS、ニュースで流れる悲惨な事故や事件に対して、「自分には関係ない」と目を背けることがあります。
ヘウォンの姿は私たち自身の姿でもあり、そこに居心地の悪さを感じてしまうのかもしれません。
女性の怒り
ボンナムの復讐は、長年抑圧されてきた女性の怒りの爆発として描かれています。
特に、ボンナムが夫の死体に味噌を塗るシーンは印象的です。
これは「味噌を塗れば治る」と言って彼女の傷や痛みを軽視してきた夫への皮肉な復讐であり、女性の身体的・精神的苦痛を軽視する男性社会への強烈な抗議だと思います。
なんとも皮肉な伏線回収です。
韓国映画における女性像の変遷
2010年公開の『ビー・デビル』は、韓国映画における女性像の転換点となったといわれています。
それまでの復讐劇といえば『オールド・ボーイ』など男性主人公が中心でしたが、本作は女性が主体的に復讐を遂げる物語です。
ボンナムは閉ざされた村社会の被害者でありながら、自らの意志で運命を変えようと立ち上がりました。
生まれて初めて島を出て本土に渡る際、慣れない化粧をし、高いヒールの靴を履き、白いワンピースを纏うその姿は、まるで彼女が自分自身を取り戻す儀式かのようです。
彼女が自ら選択した「美」は、それまで他者から強制されてきた従順で素朴な「女らしさ」とは対照的なものでした。
この作品以降、女性の視点から社会を批判する韓国映画が続々と登場しました。
『ビー・デビル』はその先駆けとなった重要な作品です。
実話との関連性

本作は映画『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』のベースとなっている「密陽女子中学生集団性暴行事件」など、韓国で実際に起きた複数の事件を基に脚本化されたと言われています。
しかし、単なる実話の再現ではなく、このような悲惨な事件を生み出す社会構造への批判として昇華されている素晴らしい作品です。
実際の事件では、残念ながら被害者の声が無視されたり、加害者が軽い処分で済むケースが後を絶ちません。
『ビー・デビル』はこうした現実の不条理を、ホラー映画という形式を通じて強烈に可視化しています。
孤島という閉鎖的な環境は、日常社会に潜む性暴力や抑圧の構造をより鮮明に浮き彫りにする効果的な舞台です。
現実社会の問題を「孤島」という非現実な舞台に設定することで、私たちは日常に潜む「当たり前」の不条理を大胆に描いている本作の脚本・演出は見事としか言いようがありません。
おじいちゃんの象徴性

ほとんど台詞のないおじいちゃんは、一見すると脇役ですが、実は物語の理解を深める重要な存在です。
この「おじいちゃん」は過去に島の男性たちが海難事故で亡くなった際、唯一生き残った男性でした。
その後、彼は長年にわたり島の女性たちから性的虐待を受け、精神的に壊れていったことが示唆されます。
つまり彼もまた、ボンナムと同じく島の閉鎖的なコミュニティの犠牲者なのです。
興味深いのは、ボンナムが島民を次々と殺害する中で、この「おじいちゃん」だけは殺さなかったことです。
殺さないどころか、「おじいちゃん」の伸びきった髪を切ってあげるという優しさを見せています。
これは同じ被害者同士の連帯感の表れでしょう。
最後に、島に一人残されたおじいちゃんが、亡くなった島民たちの墓を丁寧に作り、供物台を前に自然死を迎えるシーンがあります。
この「故人を弔う」という行為には、おじいちゃんの諦念と許しが込められているかのようです。
おじいちゃんの存在と弔いは、「加害者 vs 被害者」という単純な二項対立を超えた、人間関係の複雑さへの洞察が示されています。
彼の存在は、老若男女を超えた抑圧者された者どうしの連帯、人間の本質への理解を表現しているのかもしれません。
感想(ネタバレ含む)

『ビー・デビル』を見たとき、その鮮烈な映像美と衝撃的なストーリーに言葉を失いました。
何度も思い返すうち中で、一番心に残ったのは主人公ボンナムの優しさです。
常に虐げられながらも、驚くべき忍耐力で島の理不尽な現実を生き抜いてきたボンナム。
夫からの暴力や義弟からの性的虐待など、自分への仕打ちにはなんとか耐えてきた彼女でしたが、娘のヨニが夫から性的虐待を受けていると知った瞬間、彼女の中で何かが決定的に変わります。
「私は我慢できても、娘だけは守る」
この母親としての強い覚悟が、島からの脱出を決意させるのです。
ソウルから来たヘウォンとの関係にも、ボンナムの優しさが表れています。
経済的にも社会的にも恵まれた幼なじみに対し、彼女は羨みや嫉妬ではなく純粋な喜びと歓待の気持ちで接します。
子供の頃の思い出の品、壊れたリコーダーを大切に持っていたことからも、彼女の純粋さと情の深さが伝わってきます。
ラストシーンでの彼女の姿が特に心に残ります。
「あんたは 親切じゃないから」
とへウォンの冷淡さを責めるボンナムですが、最期、唯一の友人であったヘウォンの膝の上で静かに息を引き取る彼女の表情には不思議な安らぎがありました。
まるで二人の幼い日々を思い出しているかのような眼差しに、彼女の無限の優しさを感じました。
一方、物語の中でほとんど台詞もなく、常にハーブを噛み続けていたおじいちゃんの存在も忘れられません。
一見すると背景の一部のように見えるこの老人は、実は島の歴史と悲劇を物語る重要な存在です。
島の男性たちが海難事故で亡くなった後、唯一生き残った彼は、その後の人生で想像を絶する苦痛を味わってきました。
彼は島の女性たちから性的対象として扱われ、その結果として精神を病み、現実から逃れるためにハーブに依存するようになり、結果として認知症のようになってしまいました。
彼の沈黙と無表情の奥には、言葉にできない深い痛みが隠されていました。
ボンナムとおじいちゃんの間に交わされた、虐げられてきた者同士の言葉なき連帯に心が苦しくなりました。
映画の最後、島に一人残されたおじいちゃんが、亡くなった島民たち一人ひとりのために墓を作る姿にも、胸を打たれました。
山で亡くなった者には土で、岩場で亡くなった者には石で、家で亡くなった者には壊れた壺の欠片で—。
それぞれの死に場所に合わせて墓標を選ぶ細やかさには、彼なりの敬意と許しが込められているように感じました。
なぜ彼は自分を苦しめた人々のために墓を作ったのでしょう。
いや、作ってあげることができたのでしょうか?
おそらく彼の心には、単純な恨みを超えた複雑な感情があったのでしょう。
島の閉鎖的な環境の中で、全ての島民が加害者であり被害者でもあったという理解。
あるいは、生き残った者としての責任感や、これで全てが終わるという安堵感もあったかもしれません。
また、ヘウォンの冷淡さについてですが、私はもっと彼女の背景が知りたいと思いました。
なぜあれほど他者に無関心になったのか。
銀行での彼女の様子は描かれていましたが、どんな人生を歩んだら、あそこまで冷淡になれるのでしょう?
彼女の冷淡さは単なる性格なのか、それとも都会で生き抜くために身につけた防御なのか…。
島に来る前の彼女の生い立ちがもう少し描かれていれば、彼女の変化にもより深く共感できたはずです。
『ビー・デビル』は単なるホラーや復讐劇ではなく、人間の弱さと強さ、残酷さと優しさが複雑に絡み合った作品です。
おじいちゃんの存在は、この映画が「善と悪」「男性と女性」「被害者と加害者」の単純な二項対立では語れない複雑な人間ドラマであることを示しています。
彼の沈黙の中にこそ、人間の尊厳と許しの可能性が宿っていたのかもしれません。
ボンナムの復讐は決して許されるものではありませんが、それでも彼女の愛情深さと純粋な心に心を打たれずにはいられません。
最後まで「母」であり「友人」であり続けた彼女の姿は、この残酷な物語に人間性の光の部分を照らし出しています。
『ビー・デビル』はその凄惨で衝撃的な復讐劇の奥に、一条の光が差し込む人間ドラマだと感じました。
『ビー・デビル』のよくある質問
まとめ
この記事では、韓国映画『ビー・デビル』のあらすじからキャスト、SNSでの評価、動画配信情報、そして登場人物たちの心理に迫る深い考察や感想まで、詳しく解説いたしました。
特に、閉鎖的な孤島で起こる悲劇と、無関心という名の暴力がもたらす衝撃的な結末は、観る人の心に深く刻まれるはず。
- 忘れられない衝撃を与える物語と深いテーマ性
- ボンナム、ヘウォン、おじいちゃんら登場人物の複雑な心理
- 主演ソ・ヨンヒの鬼気迫る演技とチャン・チョルス監督の演出
- 『ビー・デビル』を見ることのできる動画配信サービス
この映画が問いかけるメッセージは、決して他人事ではありません。
この記事が、『ビー・デビル』という作品をより深く理解し、ご自身の心と向き合うきっかけになりましたら幸いです。
ぜひ配信サービスで本編をご覧になり、その衝撃をご自身の目で確かめてください。
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